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ある新聞記事から。

旅のことも、ロスキレフェスティバルのことも書きたいのですが、時間がないので日本に帰国してからゆっくり書こうと思います。今日はちょっとだけ、昨日、知人達と話したことを書きます。

昨日のJullandsposten新聞に載っていた、ある記事についての話です。
記事の内容は、デンマークで高い教育(定義は明確にされていませんでしたが、大学院博士過程レベルを指すと思われます)をうけた外国人が、その後デンマークにとどまって働いているかの追跡調査の結果についてです。おおまかな記事の流れはこうです。デンマークで働き始めて3年が経過すると、自国に帰るか、他の国に渡ってしまう外国人が実に多い。その主な理由は、3年が経過すると税率が高くなること。このままでは、およそ10年後に、高い教育を要する仕事(医者、研究者など)の労働者不足がもっと深刻になる。

その記事を見たとき、そこにいたのは全員デンマーク人、年代も職業もバラバラでした。そのうちひとりが、「無料で教育をうけて、そのあと税金が高いからって出て行くなんてずるい。」といいました。それは、デンマーク人からしてみたら確かにそう思うでしょう。

でも私は、問題のおおもとは、高い税金だけではないような気がしました。税率が低くなっても、他の理由で外国人はいくらでもデンマークを出て行ってしまうでしょうし。私は、「そもそも高い教育を要する仕事を外国人頼みにしている状態がまずあやうい。外国人をひきとめるより、高い教育を受けたデンマーク人を育てる方がよほど確実だと思う。そもそもデンマーク人は高い教育を、しかも無料でうけられるチャンスがありながら、なぜうけないの?」と聞いてみました。

いろいろな答えが返ってきました。
「教育を受けたくても成績が足りない。それに外国と成績評価基準が違ったりするから、外国人のほうが高等教育機関に入りやすかったりする。」
「たとえば医者になったとしても、長い勉強期間とハードな仕事の割に、給料が特別いいわけでもない。大学に行かずに大工になった方が、場合によっては給料がいい。」
「そんな高い教育を受けなくても、なんだかんだデンマークでは暮らしていけてしまう。」
「多くのデンマーク人も高い教育は受けている、ただ、科学関連(医者もここに含まれる)を志す人が足りない。」

改めて、教育を社会で役立てていく、社会に還元していくことは難しいのだなと思いました。まず、教育も受けずにのんべんだらりの生活を、「そういう人生はつまらない!もったいない!」と人が思えなければ何事も始まらない。つまり「ハコ=無料の高等教育機関」があるだけではだめ、さらに、「頭の上から吊り下げたにんじん=将来は高い給料が得られる、など」が必要。はじめに挙げた新聞記事で、税率が高すぎる話をしていますが、税率を下げるのも一種の「にんじん」でしょう。

それから、ある程度「なにが今の世の中に足りないのか、なにをすれば他の人のためになるのか=自分以外の何か、誰かを考える気持ち」と、「自分が何をしたいか=自分のことを考える気持ち」が重なったところに、各人の勉強・研究のフィールドがあると、何事ももうちょっとうまくいくのかな?と思いました。デンマークに住んでいると、どうもみなさん「自分が何をしたいか=自分のことを考える気持ち」に重きを置きすぎているような気がするのです。
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No title

本当にそのとおりだと思います。
博士号を取得して母国に帰る外国人がずるいのではなく、そもそもデンマーク人で博士プロジェクトをやりたがる人が少ないのが問題なんだと思います。うちで募集しても、本当にデンマーク人の応募が少なく、今いる博士課程の学生8人のうちデンマーク人は2人だけです。
外国人が母国に帰るのは、博士号を取得してもデンマーク語ができないと就職が難しいのと、永住したいと思えるほど魅力的な国ではないことが大きいのでしょうしね。
本当に、デンマークは、教育が無料である上に、博士課程はヨーロッパの中でも給料が高いのに、そのわりには大学進学率も博士課程進学率も低く、もったいないな~と思います。
でも、高い教育を受けることにステータスを感じてなくて、本当に大変な学業をこなせるひとだけしか進まないんでしょうね。
ドロップアウトする人も多いですが、あきらめが早いなぁとも思います。デンマーク人はすぐ現状を受け入れ満足する「幸せな」国民性であるとも思いますが、それだからこそ自分の能力をこえてまで世の中に貢献したいというモチベーションに欠けるのか、ともかんぐってしまいますね。
本当、「人参」を用意するだけではモチベーションを促すのも難しいでしょうね。

elsさんへ

コメントありがとうございます。
返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。

デンマーク人が博士課程に進むと、授業料は無料、給料も出るのに、もったいないですよね。でも、それが当たり前になると、もったいないとは思わないかもしれませんね。修士ですら大変な学業を、博士に行っても続けるよりは、働く時間が決まっていて、休みもしっかり取れる企業で働いたほうがいいという考えの人が、私の同学年には多かったです。企業のほうが、給料も博士と似たようなものか、それより上のようですし。実際、同じコースの同学年にはデンマーク人が20人近くいましたが、博士に残ったデンマーク人の同学年は2人だけ。本当に、自分の研究が大好きな2人です。
私も、デンマーク人って、特に自分のことになると諦めが早いと思います。自分の「辞めたい」という気持ちに正直で、実際辞めても、そのあとの生活もなんとかなってしまうでしょうし、万が一生活が傾いても、彼らは「仕方ない」と考えるので 、それでいいのでしょうが…。
elsさんのおっしゃる、「自分の能力を超えてまで世の中に貢献したい」という気持ちを持ちすぎてしまうと、自分が潰れてしまうし、デンマーク人は自分が潰れないようにうまく切り抜ける力に長けているような気がします。でも、その気持ちを、自分を守りすぎて100パーセント失ってしまうと、それはそれで自分によくないですよね。

なるほどなるほど

色々と勉強になります。
お二人のコメントを読んで、国民性ってなんなんだろう?と考えてしまいました。
狩猟民族と農耕民族とか、寒いとこと暑いとことか、歴史的背景とか、いろんなことで出来上がってきた国民の性格。
ドクターになるのは難しくて、あきらめが早くて、博士課程を出る人が少ないから博士のお給料がいい、でも成り手は少ない国…
博士課程に行く人も結構いるけど、その後就職難で専門外の道に進んだりすることも少なくない国…
人のこころを動かすことは、どんな難題よりも難しい課題かもしれませんね、ニンジンは効き目が出るのでしょうか。

最近ふと、植研の先輩(元私の兄)を思い出して『学問をする人』というのを考えましたが、
大学時代の専門であれ、現在の職であれ、博士をとる自分は全く想像できませんでした。
今の私が、じゃなくて、学生時代の私が、でも同じでした。
私は、博士課程が無料であったり奨学金がもらえたりしたとしても博士過程に進もうとは考えなかった=大方のデンマーク人と同じなのかしら?なんて考えたりしてちょっと親近感がわきました。
日記の話と論点がずれてますが、私の感想です。
プロフィール

syltetoejsglas

Author:syltetoejsglas
はじめまして。syltetoejsglas (デンマーク語で「ジャムの瓶」の意)です。大学でジャム瓶を使って実験をしていたので、こういう名前です。
現在、デンマークでの大学院生生活を終え、プータロー生活を1年近く大満喫の後、日本帰国。4月から専門職で社会人復帰しています。
このブログは、デンマークなのにデンマーク人にすらデンマークと思われていない(?)デンマーク最北部での野趣あふれる生活を懐かしみつつ、私のいまだ不慣れな日本での日常生活を淡々と綴るものです。

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