FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

さよならデンマークその3 CPRナンバー制度のこと 1

帰国まであと2週間、会っておく人に会い、いろいろな手続き関係を済ませ、紙媒体の荷物をできるだけスキャンして減らし、荷物をつめる作業が続いています。

ひとつ、ブログを書くモチベーションが下がる前にどうしても書いておきたいことがあります。私はデンマークが格別大好きでも大嫌いでもなく、日本とは別のいい面があり、日本とは別の問題を抱えている、ひとつの国だと思っていますが、これだけはスゴイ!と思うことがあります。それは、各人のいろいろな登録を、CPRナンバーですべて紐つけしていることです。

CPRナンバーとは、デンマーク人と、デンマークに合法的に長期滞在する人に与えられる、個人ID番号です。外国人の長期滞在者の場合、ビザが下りて、デンマークに入国後、居住地の役所で住民登録すると、このCPRナンバーがついた黄色いカードをもらいます。これが、デンマーク国内での健康保険証兼身分証明証になります。小さな子どもからお年寄りまで、必ずこの身分証明書を持っています。(そういえば日本人って、免許を取るか親の扶養を抜けて健康保険に入るまでは、パスポートをとる以外に個人の強固な身分証明証がないですよね?)

そして、家を借りるにも、銀行口座を作るにも、携帯電話を申し込むにも、免許を取るにも、学校に入るにも、会社で働くにも、とにかくこのCPRナンバーを公開する必要があります。

これを繰り返していくと、各個人の国内でのデータ、つまり所属先、登録したもののデータが、CPRナンバーで関連づけられることになります。逆に言えば、私のCPRナンバーから、私がどこに住み、どこに銀行口座を持ち、どこの携帯会社と契約して、何年から何年までどこの大学にいて…ということが、すべて分かってしまいます。

こう書くとなんだか、国に自分の情報が全部ばれているという面が強調されてしまい、嫌悪感を抱く方もいるかもしれません。しかし、自分の情報は、隠そうとしても多かれ少なかれさらされるわけで、どこまでさらされているか自分で把握できなかったり、情報を隠すことによって、自分の情報に妙な価値がついて、裏で高値で取引されたりするくらいなら、思い切りばれている方がいいじゃないかと私は思うのです。国に情報がばれていても、私はとくに迷惑をこうむったことがありませんでした。自分が悪いことをしなければいいのですから。

むしろ、この制度のおかげで、いろいろ面倒くさいことを省くことができていました。例えば、運転免許証の更新。私は2009年に自動車免許を取得しました。有効期限は満70歳の誕生日です。それまで40年近く、まったく更新しなくていいのです。40年も何もしないなんて恐ろしいですが、そもそも免許の更新は、事故が起こらないようにするためのもの。健康で運転に支障がなく、実際に無事故の人がわざわざ5年おきに更新をしなくても、ちゃんと問題なく車を運転するので、それでいいという考えなのでしょう。あとは全員5年更新制だと、処理に関わる人の人件費が高くつくので、無駄な人件費を削減する考えもあると思います。一方、例えば運転に影響する持病があったり、免許取得後に、怪我等で身体にハンディを負った人、頻繁に事故を起こす人などは、特別に、もっと頻繁に更新作業をし、個別に詳しく調査されて、車の運転が続けられるかの判断を受けます。免許センターは、CPRナンバーによって、誰が更新の該当者なのかが分かります。上で述べたような、持病がある人、身体的ハンディを負った人は必ず病院にいくので、病院の診断を通じて、免許センターに情報が送られます。事故を起こした人は必ず警察のお世話になるので、警察を通じて情報が送られます。

もうひとつ、確定申告をする時に驚いたことがあります。申告のひとつに、Koerselsfradrag(直訳語がないので、「交通費控除」と訳しておきます。給与をもらって働く人が、家から職場までの距離が一定距離離れている場合に、かかった交通費から税金が控除されるというもののようです。)というものがありました。それを申告した時、証拠提出の必要が全くなく、ネットで30分もしないうちに申告が終わり、数週間後に銀行に還付金が振り込まれていました。

私は日本で確定申告をしたことが何度かありますが、とにかく、証拠をすべて提出しないといけないのが面倒くさかったです。例えば、医療費控除のために、いちいち病院と薬局からの領収証を何十枚も全部添付しました。短期の派遣社員であちこちで働いていた時は、源泉徴収票を何枚も添付しました。こんなかさばって、添付物もまちまちな書類がたくさん届いて、職員はこれをいちいちチェックするのかな?と思うと、あまりのシステムの効率悪さにむなしくなりました。職員は効率悪いと分かっている仕事をクタクタになるまでやらされて、税金が職員の給与になって、そんな仕事の給与をもらう方も払う方も、うれしくないじゃないですか。職員の仕事を減らしてあげるために申告しない、となったら完全におかしな話ですし。

さて、話を交通費控除に戻します。私は大学院生時代、2年間、大学から奨学金(これが給与扱いになりました。SUだと該当しません。)をもらい、家から片道60km先の大学まで、定期券を使って列車で通いました。控除を受けるのに、大学の在学証明書も、奨学金をもらっていることの証明書も、定期券の領収証もいりませんでした。もうお分かりのとおり、税務署は私のCPRナンバーで、私が大学院に在籍し、家は60km離れており、奨学金をもらっていることを確認できたからです。おまけに、銀行口座も確認できるので、口座指定する必要もありませんでした。書類ごとに口座番号を書き込むと、自分の書き間違いや、相手が書類を読み間違えて、振込みミスが生じることがありますが、それもできるだけ防げるでしょう。

余談ですが、私は学生だったのに、定期券を学割で買えませんでした。一方、デンマークにはSUという無返済奨学金があり、これをもらっている人は学割で定期が買えます。アンフェアだなと思っていたのですが、還付金が来た後、実際に自分が払った定期代はいくらになったのか調べたら、学割料金とほぼ同じになりました。そのかわり、SUをもらっている人は、この交通費控除が申請できないのです。うまくできているのですね。SUは多くのデンマーク人学生がもらうものなので、交通費控除を申請不可にすれば、その分税務署の仕事が減らせるわけです。

ちなみにデンマークの確定申告は、さかのぼっての申告が原則できません。2010年分は2011年の締め切り日までに申告しなければアウトです。この辺りにも、無駄な仕事は徹底的に省く姿勢を感じます。

最近、NEM IDという制度ができ、税務署の確定申告関係に使っていた個人ID番号と、個人の銀行口座のネット銀行のID番号が統一されました。私はこれによって、どんな効果があるのかまだ分かりませんが、CPRナンバーで個人の銀行が特定できるからこそ、こういう、税務署と銀行という異分野同士が、素早くタッグを組むことが可能なんだろうなあと思います。

長くなるので次回に続きます。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

syltetoejsglas

Author:syltetoejsglas
はじめまして。syltetoejsglas (デンマーク語で「ジャムの瓶」の意)です。大学でジャム瓶を使って実験をしていたので、こういう名前です。
現在、デンマークでの大学院生生活を終え、プータロー生活を1年近く大満喫の後、日本帰国。4月から専門職で社会人復帰しています。
このブログは、デンマークなのにデンマーク人にすらデンマークと思われていない(?)デンマーク最北部での野趣あふれる生活を懐かしみつつ、私のいまだ不慣れな日本での日常生活を淡々と綴るものです。

よろしければクリック↓お願いいたします。

ご訪問ありがとうございます。
カテゴリ
カレンダー
11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
最新コメント
リンク
検索フォーム
月別アーカイブ
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QR
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。